◆小林ゆみ 委員 杉並区特定の課題に対する調査、ICT教育、学校トイレ、新型コロナ対応、施策指標の目標達成状況です。使用する資料は、杉並区特定の課題に対する調査、中学校第2、第3学年英語、平成29年度、30年度、2019年度版、杉並教育ICTフォーラムのチラシ、資料請求で頂いた資料のナンバー356、「神明中だより」令和2年2月号、区政経営計画書です。
まず、杉並区特定の課題に対する調査について伺います。
区は、毎年5月に、全ての杉並区立学校児童生徒に、学校の指導改善のため、区教員と済美教育センターで作成する杉並区特定の課題に対する調査を行っていますが、この結果はどのように使われているんでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 本区が実施しておりますのは、学力調査ではなくて特定の課題に対する調査ということで、児童生徒は、学びを振り返って今後に生かす、また教員は、指導や評価の在り方について考え、指導改善に生かす、また教育委員会は、学校の実情に応じて支援することなどに活用しております。
◆小林ゆみ 委員 中学校第2、第3学年英語、平成29年度版、30年度版、2019年度版を年度ごとに比べると、出題されている問題が毎年ほとんど同じであり、問題の類似率は90%以上です。毎年同じような問題であると、生徒たちは答えを覚えてしまえば高得点が取れて、正確な調査結果が出ないと思いますが、改善できないでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 調査問題は、経年変化を見るように作成をしております。今後も学習指導要領に準拠した内容をベースにしながら、必要に応じた改善は進めてまいります。
◆小林ゆみ 委員 ほとんど同じなので、ちょっと変えてほしいなと思っています。
次、このテストには記述問題が少ない上に、29年度、30年度版を比べると、30年度は、29年度のある記述問題が記号問題に変わっており、さらに減ってしまっています。加えて、中学生が理解して自分から使えるようになるべきSVOCMの文の要素であったり、5文型などの基礎知識をフルに用いて英作文とか並べ替えをするようなアウトプットの問題がありません。英語の記述問題が減ると、正確なつづりが書けなくなり、文章構成能力を鍛えるアウトプットの機会も失われると思いますが、こちらも改善できないでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 記述問題ですけれども、委員にもお示ししました3年間の問題構成を見ますと、中2で25問中13問が記述問題、中3は11問が記述問題ということで、増えてはいないんですが、減ってもいない状況にあるかと思います。
◆小林ゆみ 委員 英作文の問題など、ぜひいろいろ増やしてほしいと思っております。
次に、ICT教育について伺います。
現在、塾や予備校では、授業中に板書をノートに書くのではなくて、タブレットやスマートフォンで画像を撮影している児童生徒も多いと聞きます。また、授業中に何か分からないことがあって調べ物をする際に、インターネットで検索するということもあるようです。
これらのことについて、区立学校での現状はどのようになっているでしょうか。また、授業中に個人のタブレットやスマートフォンを使用することはできないようになっているか、確認します。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 現在は、児童生徒の私物になる携帯電話とかスマートフォンの学校への持込みは原則禁止としております。
◆小林ゆみ 委員 画像撮影とかも学校のタブレットでできないようになっているんでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) その画像を使って何か学習を進めるというようなときには、状況に応じて使用しております。
◆小林ゆみ 委員 資料ナンバー356、ICT教育についてを見ると、ICT教育使用教材として自動採点ソフトが挙げられていますが、具体的にどういったものでしょうか。また、今後、区立小中で導入される予定はあるでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) こちらの2つは、どちらも児童生徒の個別学習を支援するソフトになっております。子供たちがタブレット端末に手書きで書き込んだ回答を自動で採点してくれるものです。基礎的、基本的な学習内容をそれぞれのペースで進めることができるようになっております。現在、「ミライシード」が全小中学校に、また「ペンまーる」というものが小学校12校、中学校2校に導入されております。
◆小林ゆみ 委員 すごく効率がいいと思うので、ぜひお願いいたします。
次に、「神明中だより」令和2年2月号を見ると、令和元年度教育調査結果報告について記載されています。その中で、ICT教育の肯定率が1年生94%、2年生は94.5%と高いのですが、3年生は79.1%となっていまして、3年生が低い傾向にありますが、これはどうしてでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 学校ごとの個別の状況でございますが、これは学校が分析して、また次年度へ生かしていくものであると考えております。委員が御指摘の部分につきましても、当該校で分析していると考えております。
区内の他の中学校の様子を見てみますと、同様の傾向を示しているわけではございません。
◆小林ゆみ 委員 関連して、少し前の話になるんですが、平成29年度に実施した杉並教育ICTフォーラムについて、このICTフォーラム内で実施したICTを活用したスピーキング、リスニング活動について、この目的と、これを今後通常授業で行っていく予定があるのか伺います。
また、外国人講師と話すとあるんですが、国によって英語になまりもあるのかなと思うんですが、これはどちらの国の方か、お分かりになるでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 平成29年度のフォーラムで実践報告しましたタブレットパソコンを活用したオンラインスピーキングの学習ですけれども、日頃の学習の成果を活用して、外国人講師と楽しくコミュニケーションを取ることを目的に取り組みました。このときの外国人の講師の方ですけれども、フィリピンの方々だと記憶しております。
また、この取組は、タブレットパソコンを活用した学びの可能性を探る1つの取組として、この学校で複数回にわたって実施したものでございます。
◆小林ゆみ 委員 また、同フォーラム内で休憩時間に上映した動画のテーマである「家族愛」の授業というものはどういったものでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 道徳の学習でございますが、学習する項目が20項目ほど決まっております。家族愛もその項目の1つとなっておりまして、家族を敬愛し、家族の一員としての自覚を持って、充実した家庭生活を築くということを考える学習となっております。
◆小林ゆみ 委員 ICTとどういう関連性があったんでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) この学習の中で、何か資料を提示するときに示したりですとか、それから、いろいろな考えを前に表示したりとか、様々な場面でツールとして使いました。
◆小林ゆみ 委員 道徳の授業の中でもICT教育がなされているということなんですね。分かりました。
次に、区立小中学校のトイレについて伺います。
区議会ではよく学校のトイレについて、和式から洋式に換えるべきという意見が多いですが、私はちょっと立場が違います。導入コストや、和式トイレに慣れておくことの社会的な重要性、また細菌による感染症のリスクなどを考えると、トイレを全て洋式にすべきであるとは言い切れないと思います。
中でもコストの問題ですが、和式から洋式に換える際は、便器だけでなく、周りのパイプや壁、そして必要であれば便座除菌の用具など、一式を全て洋式仕様に換えなければなりません。都の補助金も全額出るというわけではないので、区の財政的負担も大きいと思いますが、洋式に換える際、周りの設備等も換える必要があることを考えると、一式につきどのくらいの費用がかかるでしょうか。
◎学校整備課長 概算でいいますと、和式を洋式に換えるという場合には、1つ当たり大体100万前後の工事費といいますか費用がかかる、そんな概算でございます。
◆小林ゆみ 委員 区立小中学校では、新しい学校を造る際においても和式便器が残されていると思いますが、それはどういった意図や目的があるんでしょうか。
◎学校整備課長 当然、学校は、震災救援所ということで避難するような方がいらっしゃいます。そうなると、様々な方がトイレを使う。中には高齢者の方もいますし、和式便器のほうが慣れているというような方もおります。またさらに、先ほど委員おっしゃったように、衛生面なんかを気にする方もいて、直接肌に触れたくないというようなこともあるので、和式を一定程度希望する方もいらっしゃる。
学校によりますと、ある意味社会勉強といいますか、まだ和式が完全に世の中からなくなっているわけではないので、何かの際に和式に慣れておく、そういうことが必要なので、学校には一定数のものを置いておいてほしい、そんな声も学校から出ている。そんな形で、全部を洋式にしているわけではないということでございます。
◆小林ゆみ 委員 たしか似たような話で、最近、公衆電話というのを使ったことがない子供が増えているということで、災害時ですとか非常時とかに困るという子も多いので、和式トイレも大事なのかなと思います。
和式トイレを日常的に使うことで、大腸炎だったり、痔、結腸がん、中耳炎のリスクが減少するという、米・スタンフォード大による研究データもあるので、メリットも多いのかなと感じるところです。
ちなみに、さっきイニシャルコストについてはお話があったんですが、和式トイレと洋式トイレでは、ランニングコストはどのぐらい異なるんでしょうか。
◎学校整備課長 業務委託でトイレ清掃なんかをやるときに、例えば和式をお掃除する、洋式をお掃除する、当然、洋式のほうが少し便器の形状が異なるので煩雑というのはありますが、そこで何か単価に差をつけているというのはございませんので、具体的にランニングコストに大きな差はない。ただし、何か故障したときには、和式の場合には埋め込んでいるようなことがあるので、全部換えなきゃいけないので、和式のほうが高い、そんなものもございます。
◆小林ゆみ 委員 区立小中学校の改修ですとか補修などのテーマにおいては、和式トイレの洋式化というのが頻繁に取り沙汰されている印象ですが、実際に私自身が区内の小中学生と会って話をする際に、要望をいろいろ聞いてみるんですが、その場合に、トイレよりも、理科実験で使用しているビーカーが割れているので、実験器具を換えてほしいとか、塾の友達が持っていた教材を学校でも使いたいというソフトの面が多く、またハード面にしても、雨漏りを直してほしいとか、急を要するものが多い印象です。
学校施設の改修や補修、または物品の購入などを考える際に、そもそもの優先順位というのはどのようになっているんでしょうか。
◎学校整備課長 新しい学校もあれば古い学校もあるので、当然設備も古くなっていく。今委員御指摘いろいろあったように、トイレだけを注目しているわけじゃないので、我々もいろんな設備とか施設、それが故障したり老朽化すれば、当然それを換えていく。それについては、改修の履歴だとか学校からの要望を受けて、優先順位を、じゃ、これのほうが先ですねとか、じゃ、これはまた来年でいいですかねとかいうことはやっています。大規模な施設になれば、営繕課とも相談しながらやるというのはございます。
そういったことで、突発的に壊れることもありますので、その都度学校から要望を聞いた上で、優先順位というか、必要な修繕、改修を行っている、そういう現状でございます。
◎庶務課長 加えまして、今ビーカーのお話が出ましたけれども、そういった物品のお金と修繕のお金、費目が少し分かれています。校長の権限で、学校運営費の中で、必要に応じてそれは判断をして購入しているもの、そういうふうに理解します。
◆小林ゆみ 委員 分かりました。ぜひ、トイレだけじゃなくて、バランスよくお願いしたいと思います。
次に、1点だけ、新型コロナウイルス感染症対応について確認です。
今般の新型コロナ流行のために、学校が一斉休校となり、その結果、ほとんどの中高で学年末の期末試験実施が取りやめになり、それによって、指定校推薦、推薦入学試験を目指す子や、期末試験で巻き返しを図ろうと思って勉強を頑張っていた、あと少しで目標達成という成績の子の進学の機会が狭まってしまったという話を区内の学生たちから直接聞きました。
これについて、ある国会議員の方を通して文科省に問合せをしたところ、来年度、令和2年度大学入試へ向け、5月から6月に出すガイドラインには、今回の期末試験実施、不実施によって、特定の学校が推薦入試で不利益が出ないように配慮する旨記載するようにしたいという回答をいただきました。
この問題について、当区の見解と対処法を伺います。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) まず、本区の公立中学校の3学期に行う定期考査ですけれども、臨時休業前に全校終了しております。
なお、学校における子供たちの評価はこの定期考査のみで決まるものではなく、ふだんの学習状況なども含めて総合的に行うものです。今回実施しました定期考査の結果も、その評価の材料の1つとして適切に活用してまいります。
次年度の入学試験に関わる対応につきましては、東京都教育委員会ですとか、各私立学校等が出しますガイドラインに沿って適切に進めてまいります。
◆小林ゆみ 委員 ぜひお願いします。
最後に、施策指標の目標達成状況の中で、教育に関するものだけ伺います。
まず、学習習熟度なんですけれども、これは少しずつ上がってきているなと思うんですが、これまでに学習習熟度が思ったより伸びなかったという年度には、どのような原因が考えられるのかと、今後どういうふうに目標に向かって伸ばしていくのか伺います。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 平成24年度からの推移を見ますと、途中で10ポイント程度下がった年が1度ありました。これは新学習指導要領を見据えて、調査問題を、これからの時代に求められる、より高度な思考力を考慮したものに移行したことが要因の1つであるというふうに考えております。
小学校はこの4月からですが、学習指導要領が改訂になるということで、学びというものが変わってまいります。そんな中で、教員も新たな授業改善に取り組み、子供たちにしっかり新しい学びを身につけさせていく必要があります。そのために、ICTの活用ですとか、それから、児童生徒の主体的な学びとなる授業改善などを丁寧に一つ一つ積み重ねていき、目標に向けて取り組んでまいります。
◆小林ゆみ 委員 ぜひお願いします。
ちょっと時間がないので、最後の質問なんですが、「将来の夢・目標が定まっている子ども(高校生)の割合」という指標があります。平成30年度実績が56%、意外と少ないんだなと感じたんですが、少なくとも令和2年度目標の74%まで引き上げていただきたいと思います。
夢や目標というのは、具体化するには、子供たちの好きな科目や得意科目、その子の持つ興味、関心をどのように生かして、その結果どのような職業に就くことができるのかというのを教えなければならないと思います。
それに関連し、特色ある学校づくりについてですが、私の生まれ故郷の北海道には、スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールという英語学習に特化した学校があります。杉並区においても、例えば英語、プログラミング、スポーツ、芸術など得意分野を伸ばして、子供たちの自信につなげ、将来の夢、こういった希望などを具体化するようにしてほしいと思います。
杉並区は特色ある教育活動に力を入れていると思いますが、区内のどの学校がどのような特色を持っているのか、実例を幾つかお示しください。
◎済美教育センター統括指導主事(古林) 数例御紹介させていただきますと、小学校には、英語の専科教員を配置している学校が5校ございます。こちらについては、英語教育推進リーダーが英語の授業を専門的に行っております。 また、中学校においては、杉森中学校において国際理解教育を推進し、外国人講師の方と実践的な英会話を楽しんだりですとか、世界の文化とかスポーツなどについて学ぶ多様な取組を行っているところでございます。
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