決算特別委員会
財政全般、債権について
◆小林ゆみ 委員 財政全般、債権についてです。使用する資料は、27年度歳入歳出決算書、27年度審査意見書です。
まず、財政全般についてです。私たち会派のメンバーが27年度予算特別委員会で指摘、要望した点も踏まえながら質問いたします。
当該年度は形式収支と実質収支がともに黒字であり、それに伴って、実質収支比率は26年度比0.1ポイント増の6.0%となっており、一般的に望ましいとされる3から5%を超えてはいますが、23区平均は5.7%であることから見ても、さほど問題視する必要はないと考えられます。単年度収支額は4.3億円の黒字となり、8.7億円の赤字となった26年度との差が大きく出ていますが、この理由を区はどのように捉えていますか。
◎財政課長 平成26年度につきましては、その前年度の25年度の収入が、いわゆるアベノミクスですとかそういった経済政策によりまして、歳入が見込み額よりかなりふえていました。それを見込んで26年度も、じゃ若干伸びるかなといったところ、逆に、予定していた計画よりも下がっていた関係で差額がより少なかったことから、両年度を比較した場合、赤字になりました。
次に、27年度につきましては、歳入の見込みよりも収入が逆にちょっと伸びたということから、実質収支額、26年度が64億円だったものに対して68億円となったことから、27年度は4億円の黒字になった、そういった次第でございます。
◆小林ゆみ 委員 実質単年度収支額は26年度比で41.7%増と大幅にふえていますが、この主な要因は。
◎財政課長 こちらにつきましては、27年度につきましては、財政調整基金の積立金は減っておりますけれども、前年度16億5,000万余の取り崩しがあった財政調整基金を取り崩さなかったことと、また、7億円余でございますけれども、区債の繰り上げ償還を行ったこと、これが大きな要因というふうに考えてございます。
◆小林ゆみ 委員 特別区債の発行額が減少し、さらに、5年間で最少となったことに対しては一定の評価ができると考えますが、減少した理由は。
◎財政課長 27年度につきましては、公園等の整備ですとか妙正寺体育館の改築等におきまして起債を発行しておりましたが、26年度までは、小中一貫教育校ですとか学校の建設関係、大規模な学校改築がございましたので、直近5年と比べると最少になったということで、大規模な学校等がなければ起債額も減らすことができるということになってございます。
◆小林ゆみ 委員 次に、経常収支比率についてです。
当該年度の経常収支比率は、前年度比0.1ポイント減の79.7%となっており、前年度に引き続き、区みずからが定めた80%以内という目標値が2年度連続して達成されているということは、素直に評価すべきことだと言えます。ただ、経常収支比率には、自治体の自助努力だけではなく、特別区財政調整基金など、外因的なものが大きくかかわってきます。さきの一般質問でも、区長答弁の中に、経常収支比率は、ある程度であれば操作可能であるという趣旨の御発言がありましたが、具体的にどのような要因を用いて操作を行うことができるのでしょうか。
◎財政課長 操作が可能といいますか、経常収支比率の算出に当たりましては、国や都の作成要領などがありますので、かなり厳格になってございますけれども、その中で、臨時的な支出の定義というものは必ずしも明らかになっているものではございません。その中で、経常収支比率を含めました地方財政状況調査、それを通しまして国にお出しするんですけれども、東京都のほうからは、経常収支比率を下げる意味での臨時的経費につきましては、何でこうなんですかというのをよくお聞きするんですけれども、経常的経費につきましては、8割ぐらいがそちらになりますので、ほとんど確認されることはないような状況になっています。
そういった形で、例えばうちのほうが、こういった事業はとりあえずモデル事業として、臨時的な事業だということで臨時的経費に載せれば、そのまま、東京都のほうでこれは何ですかと聞いて臨時的経費になるんですけれども、区によっては、モデルだけれども当分やろうということで、最初から経常経費に入れてしまうということもあるんですね。そうするとそのまま、東京都にも何も確認されることなく、経常的経費のまま載るということがございますので、その辺、若干考え方によって、区によってちょっとばらつきが出る、そういったこともあろうかなということで考えてございます。
◆小林ゆみ 委員 経常収支比率を構成する最大の項目は人件費ですが、審査意見書19ページの人件費比率を見ると、27年度は前年度と比べて0.4ポイント減の21.8%となっています。人件費は経年で見ると年々減少傾向にありますが、当該年度に関しては、歳出総額が前年度比0.4ポイント増となったことが主な要因であると考えられ、23区平均と比べると依然として高い数値となっています。
それについて、審査意見書20ページを見ると、「23区平均を上回っているのは、歳出総額の規模が人口比でみると相対的に小さいことなどによる。」と記載されておりますが、この点についてさらに詳しく説明をお願いいたします。
◎財政課長 例えば、同じ規模の自治体であって、同じ程度の人件費を使っていたとしましても、計算となります分母である歳出総額が大きければ、当然人件費につきましては小さくなって、逆に、歳出規模が小さければ人件費が大きくなるということで、例えば仮に同じ1億円の人件費をかけていたとしても、杉並区が歳出総額100億円、一方で、A区につきましては150億円だとすると、当然A区の人件費比率が低くなりますので、そういった関係で、当区の歳出総額が人口比で見ると相対的に小さいということで、ちなみに言いますと、例えば、杉並区は、人口規模で単純に割りますと1人当たり30万円なんですけれども、一番人口が少ない千代田区では1人当たりの歳出額は90万円になり、3倍ぐらいの開きがありますので、そういったことから比率のほうも変わってくるものと考えております。
◆小林ゆみ 委員 審査意見書19ページの人件費比率の表から、23年度と比べた場合の27年度の人件費比率のダウン率を計算してみましたが、23区平均は約16%、杉並区は約12%となりました。この数字だけを見ると、ほかの22区はもっと努力をして人件費圧縮をしているように見えますけれども、その点をどのように分析していますか。
◎財政課長 各区の詳細な中身までは把握してございませんけれども、人件費の増減率だけでいいますと、23区平均、マイナスの0.7%下がっているんですけれども、杉並区におきましてはそれを上回る1.1%となっておりまして、この点は、行財政改革推進計画に基づきまして、日々効率的な行政運営に努めている結果というふうに考えてございますが、一方で、歳出総額の伸びにつきましては、23区平均が1.8%伸びてございます。財政調整基金ですとか税収ですとか消費税交付金でかなり伸びているんですけれども、杉並区は逆に、この前ほかの委員の方にも御説明しましたけれども、財政調整交付金の伸びが少なくて逆に0.4%しか、分母の部分が伸びが小さかったので、それに伴いまして、当然、ダウン率というものもちょっと下がって見えるような形になるということでございます。
◆小林ゆみ 委員 分母がふえたからということですね。わかりました。
また、区政経営報告書213ページを見ると、26年度当初から27年度当初にかけて、職員は26人削減されたと記載があります。27年度中には職員数はどのようになったのでしょうか。
◎人事課長 28年4月の当初の人数で申し上げますけれども、片方で、下高井戸保育園の委託等あるいは退職不補充というようなことで、107名の削減を行ってございます。あわせて、待機児童対策だとか、オリンピック・パラリンピックの要員としての派遣だとか、あるいは、雇用と年金の接続で職員の再任用フルタイムが30名増員になったというようなことで、増員、総計でいきますと95名ということで、差し引きになりますが、12名の減という形になってございます。
◆小林ゆみ 委員 区は今後どのような方法で人件費を削減していくのか、伺います。
◎人事課長 今ちょっと申し上げましたけれども、28年4月の23区の状況で申し上げますと、23区中14区が職員数の増という形に転じているところでございます。そういう中で、杉並区においては、待機児童対策だとか、あるいは児童相談所の設置という増要素があったり、先ほど申し上げたフルタイムの職員の増というようなものがある中で、執行方法のあり方を常に見直して、民間に委ねられるものがあれば民間に任せていく、そういった効率的な執行体制をつくるとともに、あわせて、例えば超過勤務の縮減あるいは特殊勤務手当の見直し、こういったことも行いながら、人件費の削減というものを図ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
◆小林ゆみ 委員 経常収支比率の分子を構成する扶助費についてです。
扶助費は、人口構成から見ても、今後右肩上がりに上昇するのは目に見えています。今は区の税収がふえているので、バランスが保たれていますが、一たび景気悪化等で区税収入や都区財政交付金が急激に下がると、財政の弾力性が失われるため、長期的な運営をしていかねばなりません。将来的に迎える歳入のピークアウトに関して、区はどのようにお考えですか。
◎財政課長 御指摘いただきましたとおり、扶助費等が伸びている中で景気が悪化した場合、今以上に厳しい財政状況に直面するということは明らかであると考えておりますが、現在改定中の実行計画の中で、3カ年の財政計画につきまして、今精査しているところでございますけれども、またさらにその先ということでございますと、なかなかピークアウトを予測するのは難しいかなというふうに考えてございます。ただ、そういった中でも、今後消費税率10%になる時期や人口の推移など、引き続き国全体の動き等を注視しながら、不測の事態にも備えて、まずは一定の財政のダムの構築に努めて、長期的な視野を持った財政運営に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
◆小林ゆみ 委員 よろしくお願いします。
次に、公債費負担比率についてです。
当該年度の公債費負担比率は2.0%であり、これは23区平均と比較しても、定点としては良好な数値ではありますが、23区全体が右肩下がりであるのに比べ、逆に右肩上がりになっています。このままでは、数年後には23区平均に追いつき追い越しかねないと危惧するものですが、どのように考えますか。
◎財政課長 27年度の公債費負担比率が前年度より0.6%上昇しました大きな要因につきましては、区債の繰り上げ償還を行った、その7億ほどの繰り上げ償還の影響が大きいというふうに考えてございます。また、一時期、区債を発行しない時期もございましたので、この比率も若干上がるとは思っておりますけれども、区債の発行につきましては、現在、区の財政健全化の5つのルールにのっとりまして、必要性を十分検討した上で発行の可否を判断していくとともに、基金とのバランスをとりながら運用していくことが何より大切だというふうに考えているところでございます。
◆小林ゆみ 委員 区債の発行を抑制するのは当然すべき努力であり、公債費負担比率を低く保ちながら、一方で、時期を見て繰り上げ償還も行っていかねばなりませんが、区債の金利によっては繰り上げ償還をしないほうがよいという債券もあります。今の区の債券の中で繰り上げ償還の対象となる債券はどのくらいあるのか、伺います。
◎財政課長 繰り上げ償還、区の場合は財政融資資金がほとんどとなっておりますので、それを返せば保証金というものがかかることになります。そういったことを勘案しますと、利率にしまして2%以上で、ある程度長期にわたるものにつきましては、繰り上げ償還をして財政効果があると考えておりますが、現在、2%を超えているものにつきましては、ことし、来年度で全て償還が終わりますので、それ以外となりますと、全て2%を切るものとなっておりますので、現時点で繰り上げ償還の対象とする区債額はないというふうに考えてございます。
◆小林ゆみ 委員 次に、基金についてです。
27年度予算特別委員会で、我が会派のメンバーは意見開陳内で、将来的に基金総額を標準財政規模の半分に当たる550億円まで積み増すように要望いたしました。当該年度は決算剰余金の何%を基金に積み増したのでしょうか。
◎財政課長 まず、26年度の決算剰余金のうち、翌年度に繰り越すべき財源を控除した実質収支額は64億4,263万円となっております。そのうち56%に当たります36億873万円を補正予算(第2号)で財政調整基金のほうに積み立てを行った次第でございます。
◆小林ゆみ 委員 次に、債権について幾つかお伺いします。
一般的に、税務の専門的機関である国税庁に比べ、滞納処分のノウハウが継承されにくい地方自治体では、滞納処分に消極的になりやすいと言われています。ただ、日本経済が緩やかに回復しているとはいえ、依然として厳しい財政状況が続く中で、自治体のみずからの財源はみずからの努力によって確保すべきという機運が全国的に高まっており、税負担の公平性の確保のためにも、債権の管理は適切に行われることが当然求められてきます。
そこで、債権について幾つか質問をしてまいります。
27年度歳入歳出決算書205ページを見ますと、歳入合計のうち、不納欠損額は約3.5億円にも上っています。歳入のうち、不納欠損額が最も多いのは特別区民税ですが、杉並区が扱っている債権の中で不納欠損額のワーストファイブはどのようになっているのか、確認いたします。
◎会計課長 一般会計でよろしゅうございますか。
◆小林ゆみ 委員 はい。
◎会計課長 一般会計で申しますと、まず特別区民税の滞納繰越分、続きまして、諸収入のうち雑入で生活保護費弁償金、同じく諸収入の雑入のその他雑入、諸収入の貸付金返還金のうち応急小口資金貸付金返還金、それから、同じく諸収入の貸付金返還金のうち女性福祉資金貸付金返還金という順番になってございます。
◆小林ゆみ 委員 今おっしゃった5分野で不納欠損額が多い理由を区はどのように分析していますでしょうか。
◎会計課長 多岐にわたりますので、私のほうから。各事業の性質ですとか、それから、制度などによってかなりの違いはございますけれども、債務者の方のことで区切りますと、御本人の死亡によって相続人がいないとか、それから生活困窮により徴収が不能、また時効の援用というものと分析してございます。
◆小林ゆみ 委員 滞納者は、支払い能力があるにもかかわらず意図的に払っていないのか、もしくは支払い能力がそもそもないのか、どちらのケースが多いのでしょうか。
◎保育課長 保育料の部分、ちょっと金額が多いので、私のほうから保育料について回答いたしますが、いわゆる意図的に払っていないということではなくて、例えば職を失っただとか病気になった、もしくは母子家庭、ひとり親になったというようなさまざまな事情で支払いが滞っている、そういう例が保育料の場合には多いというふうに感じております。
◆小林ゆみ 委員 杉並区は、保育緊急事態宣言に伴って、来年4月の待機児童ゼロを目指して努力しておられる最中ではありますが、現状で、保育園に入りたいのに入れないという区民の方々も数多くいらっしゃるにもかかわらず、現在保育園に在籍している子供の親の中に保育料を滞納している方が多いという事実は、杉並区の保育行政に対して、区民の不満がさらに増大することの種となってしまう可能性があります。
滞納が発生した場合の対処方法として強制執行や強制徴収などが挙げられますが、杉並区は滞納処分はどのようにしているのでしょうか。また、徴収に関するマニュアル等は用意しているのでしょうか。
◎保育課長 保育料でいいますと、保育料については、区民税の所得割で、それに応じて保育料を決定しております。条例の中でも、滞納されているような場合には、地方税の例により処分をすることができるというふうな項目がございますけれども、あくまでも保育の関係でございますので、最初から徴収を強制的にということではなくて、事情を聞く中で、分割納付だとかそういったことで対応しているということでございます。特にマニュアルといいますか、あくまでも条例にのっとり地方税の例によるということなので、その中で手順を追ってやるということになろうかと思いますが、条例の処分とは別に、実際に、例えば下のお子さんが次に保育所に入るときなどについては、もし保育料を滞納している部分があれば、調整指数の中で減点をする、少しペナルティーというようなものを設けて、保育料については納入を促す、そんなこともやっているというところでございます。
◆小林ゆみ 委員 ぜひ、その点については厳しくやっていただくよう要望いたします。
ちょっと時間がないので、残り、最後1つになりますが、27年度歳入歳出決算書の263ページを見ますと、納付センター維持管理に約1,719万円を歳出しています。電話催告に関する費用が実績である徴収額を上回るということがあってはなりませんが、そのバランスはどのようにとっているのでしょうか。
◎納税課長 納付センターの投資効果に関する御質問でございますが、平成27年度特別区民税普通徴収に関しましては、納付センター業務委託費1,514万円余に対しまして、架電などで納付約束をした方が1カ月以内に納付した金額、収納額に関しましては約1億7,000万円余ございました。納付に関しましては、納付センターの架電のみならず、催告や督促などもあわせて実施してございますので、この数値を一概に納付センターのみの効果と捉えることは難しいところではございますが、一定程度の効果はあったものと考えてございます。
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