予算特別委員会
教育調査、学力調査について
◆小林ゆみ 委員 教育調査、学力調査についてです。使用する資料は、予算書、平成29年度教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価(平成28年度分)の報告書、資料請求でいただいた資料のナンバー460です。
先日、自宅最寄り駅の近くで、某不動産会社がまとめている首都圏の公立小中学校を学力別にまとめた分厚い冊子を受け取りました。住む場所を決める際、その場所にある学校生徒の学力が判断材料となり得るのだということを実感しました。公立小中学校の学力を上げることは自治体の魅力に直結するのだと感じ、区の教育レベルを上げるための取り組みについて、幾つか質問いたします。
まず、予算書271ページの教育指導費の中、学力・体力の向上3,178万4,000円とありますが、この内訳を問います。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 本内訳は、学力調査経費として2,613万7,000円、体力向上費として564万7,000円でございます。
◆小林ゆみ 委員 生徒さんも多いので、そのぐらいかかると思うんですが。
次ですが、杉並区立小中学校では、教育調査を初めさまざまな調査をしていると思います。その中の学力をはかる調査にはどのようなものがあるか、対象の教科、対象学年もあわせてお示しください。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 本区立小中学校が平成29年度に実施しました学力をはかるための調査は3つあり、まず、国が主体となる全国学力・学習状況調査は、対象教科は国語、算数・数学で、対象学年は小学校第6学年、中学校第3学年となります。
都が主体となる児童・生徒の学力向上を図るための調査は、対象教科は国語、社会、算数・数学、理科、中学校は加えて英語となり、対象学年は小学校第5学年、中学校第2学年です。
本区が行っている特定の課題に対する調査は、対象教科は国語、算数・数学、理科で、対象学年は小学校3、4学年が悉皆、第5、第6学年が希望利用、中学校第1学年が悉皆、第2、第3学年が希望利用となっております。
◆小林ゆみ 委員 先日、文部科学省による全国学力・学習状況調査の来年度の実施委託先はベネッセコーポレーションに決定したと報道されていました。同じくベネッセコーポレーションが行うテストの中に、英語に特化したものとして、GTECというものがあります。GTECは、入試問題の対策だけではなく、日常生活で実践的に使うことができる英語4技能を伸ばすための検定です。
大学入試センター試験は、2021年1月から、聞く、読む、話す、書くという4技能が評価されることとなるため、GTECやTOEFLなどの試験が持つ、使える英語力を育むという視点は、英語教育の現場で今後さらに必要となってくると考えられます。杉並区立の中学校の生徒は、現在GTECは受験していますでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 教育課程に位置づけた実施はございません。
◆小林ゆみ 委員 英検とかあると思うんですが、英検だとやっぱり話す機会がなかったり書くという機会がないので、GTECをぜひ取り入れてほしいなと思っています。
区、国、都が行う調査結果の公表対象を次に伺います。これは児童生徒、保護者にも全ての結果を伝えているんでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) どの調査も、結果を示した個票が渡されますので、児童生徒、保護者には結果及び考察等が伝わっております。また、個人面談等での資料でも多く活用されているところでございます。さらに、各学校全体の結果につきましては、学校だよりやホームページ等で広く周知されております。
◆小林ゆみ 委員 そういった結果なんですが、保護者から、こういう調査の結果やそういうものに対して何か反響はありますでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 教育委員会には特段届いてはございませんが、学校では、これら調査結果と日常の評価を含めて、担任や教科担任に相談等が入ったり、個人面談の際の話題になったりしているものと考えております。
◆小林ゆみ 委員 ぜひ活用していただきたいと思います。
また、ICTについて先ほども質疑がありましたが、教育調査において、子供、保護者、教員の教材としてのICTの肯定率という項目もあったと聞いていますが、調査結果はそれぞれどのようになっているでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 平成28年度の教育調査におけるICTに関する質問の肯定率ですが、中学校は教員が86.9%、生徒が78.7%、保護者が47.2%、小学校は教員が90.7%、児童が83.1%、保護者が67.3%という状況でございました。
◆小林ゆみ 委員 中学校も小学校も保護者だけちょっと低くなっていて驚くんですが、これは、子供たちや先生は比較的肯定的にICTを見ているけれども、保護者の人たちはちょっと理解が足りないということなので、このデータを区はどういうふうに分析をして、また来年度以降は、ICTについて、保護者の方も含め理解を深めるためにはどういう取り組みをするのでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 教育調査の結果は、ICTだけではなく、全体的に教員の肯定率が上昇傾向になった次に児童生徒の肯定率が上がって、その次に、今度は保護者の肯定率が上がるという傾向にございます。ただ、ICTの活用に関しても同様な傾向ではございますが、経年での伸び、傾きが教員、児童生徒に比べて低い状況であり、せんだっての杉並教育ICTフォーラムでも課題に挙げ、説明したところでございます。
本フォーラムについても、まさにこの課題解決のための取り組みであったわけですが、次年度以降も、ICT公開授業を初めとするさまざまな機会で理解啓発に努めてまいりたいと考えております。
◆小林ゆみ 委員 ぜひよろしくお願いします。
また、平成29年度教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価(平成28年度分)の報告書の18ページを見ると、「個に応じた指導が充実していると感じる子どもの割合」について記載がありますが、そもそも区は、個に応じた指導についてどういったものを想定して質問しているんでしょうか。
◎済美教育センター所長 個に応じた指導につきましては、子供の学習の習得の状況に応じたきめ細やかな指導と認識してございます。授業で行う個別の指導、支援、少人数による指導、補習、そういったものが取り組みとして考えられます。
◆小林ゆみ 委員 じゃ、ちょっと広い意味ということですが、その値を見ますと、平成26年度は46.7%、27年度45.5%、28年度は46.8%と、3年間でほぼ改善が見られず、5割に満たない状況になっていますが、この理由をどう分析していますか。
◎済美教育センター所長 この状況につきましては、区の学力調査ですとか諸調査においては、杉並区の子供たちの学力は年々向上しているという傾向がございますが、数値がこのような状況を示したということについて考えますと、質問項目、質問内容というのが子供にとってわかりづらいとか、1つの質問に複数のことを聞いていないかどうかということで、今年度の調査に関しましては、全体的に精選を図ったような状態で調査を行ってきたところでございます。
◆小林ゆみ 委員 項目も問題があると思うんですが、個に応じたというふうになると、割と勉強についていけない子に目が行ってしまうと思うので、個に応じたということは、結構できる子にも発展的な内容を教えていただけるとありがたいと思います。
また、点検及び評価の報告書を見ますと、最後のほう、60ページから、教育委員会の権限に属する事務の管理及び執行の状況についての学識経験者評価が載っています。その中の国立教育政策研究所教育政策・評価研究部総括研究官の植田みどり氏による評価を見ますと、個に応じた指導について、以下のように述べています。「これまでの様々な取組が実施されているにも関わらず、着実な数値の伸びにつながらないことの要因分析を行うとともに、実態分析によるニーズの把握が必要である。その上で、補助教員やパワーアップ事業などの事業の内容や運用の見直し等を行うことを期待したい」と書かれていますが、ここにまさにあるように、実態分析によるニーズの把握というものが問題解決のためには必要であると感じています。
実際に私も区内の中学生に話を聞きました。それで、個に応じた指導、個別指導やパワーアップ事業などについて聞いたところ、パワーアップ教室というのは、勉強についていけない子が行くというイメージが中学生の中ではあって、余り行きたくないということを言っておりました。区も小中学生の生の声を聞く機会を設けて、小中学生のニーズをつかむ努力をするべきだと考えますが、いかがでしょうか。
◎済美教育センター所長 パワーアップ教室に対する子供たちの声ですが、学校で行う夏季休業中のパワーアップ教室につきましては、学校を通して、子供たちがわかるようになった、できるようになったというような声が上がっているということについては把握してございます。休日パワーアップ教室につきましては、直接個別に話を聞いたりアンケートをとったりというようなことで子供の声を集めているところです。
ただ、委員の御指摘にあったような子供の声については、やはり学校において丁寧に子供との個別面談、そういったところで、より生徒に寄り添った支援をしていくということでは必要なことでありますので、子供たちの学習意欲が高まるように学校に働きかけてまいりたいと存じます。
◆小林ゆみ 委員 アンケートとかそういうものは、実際に受けた子供たちの声だと思うので、受けなかった子供はどうして受けなかったのかという、先ほどの私が話を聞いた子もそうなんですが、そのところをちょっと聞いてみていただけたらと思います。
また、指標とか数値を上げていくのが目的ではありませんが、やはりさきの学識経験者も指摘をしているように、事業の見直しが必要であると考えます。今後、区はどういったふうに個に応じた指導の肯定率を上げていくんでしょうか。
◎済美教育センター所長 数値を上げていくことも必要かと思いますが、まずはやっぱり子供たちが、個に応じた指導によって学力が高まっていく、それを実感させていくということが大事かと思います。教員の研修ですとか、各学校が実態に応じて行っている補習授業、そういったところへ教育委員会として支援してまいりたいと考えております。
◆小林ゆみ 委員 個に応じた指導に力を入れていただくということでうれしいんですが、一方で、それに力を入れ過ぎると、先生がより多忙になってしまうこともあるかと思いますが、その点、どういうふうに工夫をするんでしょうか。
◎済美教育センター所長 学校では、例えば教科担任ですとか、担任1人がその役を担うのではなくて、学校組織を挙げてやる少人数指導であったり、あとは保護者、地域、外部人材と連携して行う補習授業、そういったところで個に応じた指導を充実させていきたいと考えてございます。
◆小林ゆみ 委員 その補習というのは、いつ、誰が行うんでしょうか。
◎済美教育センター所長 補習につきましては、各学校の実情に応じて行われておりますけれども、放課後の補習であったり、長期休業中であったり、教員が行う場合もありますけれども、先ほど申し上げました外部人材と連携して補習をやっていく、そういった取り組みがございます。
◆小林ゆみ 委員 そういった補習の授業というのは、全ての学校で行っているんでしょうか。
◎済美教育センター所長 全ての学校で実施してございます。
◆小林ゆみ 委員 また、区特定の課題に対する調査、これは学力を問うものですが、こちらは国語、数学、理科、英語の4教科ですが、この4教科となった理由は何でしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 本調査は、平成16年度より、授業時数及び学習内容の多い教科、国語、算数・数学、中学校においては英語で実施してきており、平成28年度より、現行学習指導要領の理数教育の充実及び本区における理科教育の充実施策の一環としまして、理科を新たに加えて実施してきているところでございます。
◆小林ゆみ 委員 区特定の課題に対する調査の結果を分析して改善されていく必要があると思いますが、この調査結果はどういうところに反映されるんでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 調査結果は、夏季休業前に各学校に送られまして、各学校においては、夏季休業中に、本調査結果をもとに学力向上校内研修を実施することとなっております。私、統括指導主事も数校の校内研修の講師を務めましたが、教員は2学期以降の授業の改善点というものを見出しておりました。また、児童生徒個々の個票をもとに、個に応じた指導の充実にも生かされております。さらには、次年度の学校経営方針、教育課程編成にも反映されております。
◆小林ゆみ 委員 それで、授業の質、また教員の質が上がるとこの調査結果に反映されていくと思いますが、教員の質を上げるための施策は、どういうことを今なさっていますか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) この特定課題調査の結果分析に対する指導助言、それ以外にも教員研修があります。教員研修の中には、生徒指導、教育相談、特別支援教育などさまざまありますが、最も多いものとしては、授業力向上に関する研修というのがございます。職層や経験年数、教科の専門性向上などさまざまなニーズに応じた研修が用意されております。また、教員の力量形成の場である杉並区教育研究会との連携を図った研修も年々充実を図ってきているところでございます。
◆小林ゆみ 委員 ぜひ頑張ってほしいと思います。
文部科学省が実施する全国学力調査の結果を見ますと、上位常連の秋田県は、小学生の通塾率、塾に通っている率ですが、これが47位、つまり最下位です。塾に通う児童は5人に1人の割合ということになっておりまして、東京は2人に1人が塾に通っているそうなので、全く異なる状況かと思います。
それで、秋田は家庭学習をメーンに学力アップを図っているというふうに言われております。実際に秋田の中学生の自宅学習率は99.3%であり、ほとんどの中学生が自宅学習を行っています。秋田の小学校に入学する際に、保護者の方は学校から、家庭学習は学年掛ける10分を目安にしてくださいと指示されるところもあるそうで、家庭学習が児童生徒の習慣となるように、学校側がかなりの努力をしているということがわかります。
杉並区は、自宅学習について、児童生徒にどのような指導を行っているんでしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 家庭学習につきましては、各学校が、学校の実情もしくは児童生徒の実態に応じて適切に支援しているものと認識しております。
◆小林ゆみ 委員 秋田がトップを走っていますので、ぜひ参考にしていただいて、家庭学習の支援にも力を入れてほしいなと思います。
また、特定課題調査の結果を分析してわかる杉並区の子供たちが得意な分野、不得意な分野は何でしょうか。
◎済美教育センター統括指導主事(大島) 区の調査結果では詳細を追求しましたが、国のA調査、B調査の結果からも明らかなように、基本的な知識、技能の習得については、他自治体に比べても高い状況にございますが、知識の活用については、国、都よりも高い状況とはいえ、どの教科も共通の課題がある。これからしっかり力をつけていきたいというふうに考えているところでございます。
◆小林ゆみ 委員 アウトプットの学習をぜひお願いします。
では、ちょっと時間がなくなってきたので、一番最後の質問になりますが、平成29年度教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価報告書を参考にしていろいろ伺ってまいりましたが、この報告書の最後に、先ほども申し上げましたが、次年度以降の点検及び評価、総合計画等の改定の際に意識してほしい視点が挙げられています。その3点目に、「根拠データの収集整理、蓄積を着実に行うこと」とあり、引用すると、「事業の取組の達成状況を図るための根拠データを誰がどのように収集整理し、蓄積して行くのかという点が不明確である。そのため、紙面上での『効果的に対応した』、『適切に配置した』、『環境が整えられた』などの記述の根拠が具体的に紙面及び口頭でも十分説明がされていないという現状がある。」、つまり、区がみずから高く評価する一方で、根拠がないと言われているので、この点、どういうふうに改善されるでしょうか。
◎庶務課長 全般的にこの点検評価、これまでも少しずつですけれども改善を加えて、よいものにしていこうと努めているところでございます。一方で、点検評価はどうしても教育における事務事業評価という側面もあって、定量的な評価、数字を──ちょっと言葉、行き過ぎたらごめんなさいですけれども、数字を少し追いかけるようなところがありますので、そこを教育の質という面で捉えて今後どうしていくのかというところは、これから十分に研究をしていかなければいけないというふうに考えております。 いずれにしましても、この点を含めまして、さまざまお二人の学識経験者の方からは御指摘を頂戴しておりますので、実計を含めて、できるところから少しでも前に進めるよう改善をしてまいりたい、そのように考えております。
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