決算特別委員会
経常収支比率、29年度に出された補正予算について
小林ゆみ 委員 経常収支比率、時間があれば、29年度に出された補正予算についてお聞きします。資料は、区政経営報告書、審査意見書、平成29年度予算編成方針、いただいた資料のナンバー90、545、556、杉並区の決算カードです。
まず、経常収支比率についてお尋ねしてまいります。
決算の判断に当たり、経常収支比率が重要な判断基準であることは、言うまでもなく、財政の健全性をはかる指標として最重要のものの1つです。また、区としては、平成24年度から区みずからが定めたルールの筆頭にあるわけですけれども、区でルールを定めて以来、80%以内におさまったのは26年度、27年度の2回のみであり、6カ年中4回は達成できていないという状況にあります。
経常収支比率については、緊急の課題などやむを得ない状況下で、単年で適正値80%を超えることもあるかもしれません。28年度の80超えは既にイエローカードで、財政のルールを大切にするならば、それが翌29年度に連続し、レッドカードにならないように努めなければなりませんでした。しかしながら、結果は、2年連続どころか、さらに数値も悪化しています。結果だけを見るのではないにしても、これまでの質疑の中で、それを防ごうとする努力の跡が見られません。28年度のルール超えの反省がどこに生かされたのか、説明してください。
◎政策経営部長 2年連続で経常収支比率が80%を超えて、しかも上昇したということは事実でございますが、ただ、これは本区に限ったことではなくて、23区の平均においても前年度から0.5ポイント上がってございますし、また、85%を超えた区も前年度の1区から3区にふえている、こういう状況にございます。
本区の経常収支比率の上昇の大きな要因が保育関連経費の伸びにあることについては、きのうの他の委員の質問に御答弁したところでございますけれども、これによって、具体的に申し上げますと、経常収支比率が2.4ポイント上昇いたしております。裏を返しますれば、保育関連経費を7割にとどめれば、少なくとも経常収支比率は前年度の81.9%並みにおさまったということは言えます。しかし、そんなことをやれば、確実に保育園の待機児童が発生したことは明らかでございまして、到底そんなことは考えられないというふうに考えてございます。
かといいまして、保育関連経費が伸びていくのに手をこまねいていた、何もしないで、ただただ伸びるに任せていたのかというと、そういうことではありませんで、これはきのう保育課長から御答弁させていただいたとおり、この間さまざまな取り組みを行うことで、この5年間で、園児1人当たりにかかる経費が53万円減額されております。これも昨日、他の委員の質問に答えておりますけれども、1,000人に直せば5億3,000万ということですから、かなり大きなインパクトのある数字だというふうに考えてございます。
また、保育関連経費に限らず、人件費についても、この間各区の状況を見ても、保育需要の伸びなどによって増員に転ずる区が多くなってきている中で、本区におきましては、22年4月から29年4月までの7年間で削減した数としては、23区の中でも上から4番目という多さになってございます。こうした努力もしながら、足元の行政需要にしっかり応えてきたというのが、この間の取り組みだったというふうに考えてございます。
引き続き、足元の行政需要に迅速的確に応えるとともに、経常収支比率を初め、弾力性をはかる財政指標にも注視をしながら、今後とも区政運営に努めてまいりたい、このように考えてございます。
◆小林ゆみ 委員 ただ、今、23区も悪化したという話があったんですが、区政経営報告書35ページ、経常収支比率の10年間の推移を見ますと、田中区長就任時の平成22年度から26年度までの5カ年は、23区平均よりも杉並区は辛うじて低かったので、よかったと言えるんですが、27年度から29年度まで、つまり直近3年間になりますが、これは23区平均よりも杉並区は連続して高い値となっているので、一概に23区が全体的にとは言えないと思います。なので、23区の中では杉並区の経常的経費が特に膨らんできていると思いますけれども、このように、27年度からの最近の3カ年で杉並区が23区平均より悪化している理由を区はどのように分析していますか。
◎財政課長 この3カ年につきましても同様だと捉えております。待機児童対策──緊急対策は28年度ということですけれども、その前、27年度から待機児童ゼロに向けて取り組んでおりますので、そういった意味で、この3カ年につきましては、扶助費の増が経常収支比率の上昇に影響しているというふうに捉えております。
◆小林ゆみ 委員 やはり行政需要が、今言った保育費もそうなんですが、年々複雑化して膨らみつつあるので、今回の82.6%という数字は、これを見ると財政の先行きに不安を覚えるところであります。
経常収支比率を改善するためには、この比率を構成している数値をつぶさに見ていく必要がありますけれども、当該年度の経常収支比率を算出した際に使用した分母と分子それぞれの詳細をお聞きします。
◎財政課長 まず、分子の部分でございますけれども、人件費、物件費、扶助費、あと繰出金ということになっておりまして、構成比として一番多いのが人件費で3割ちょっと、物件費については2割ちょっとというような状況になっております。
◆小林ゆみ 委員 分母のほうはどうでしょうか。
◎財政課長 基本的に区税収入ですとか交付金ですとか、そういった歳入になります。
◆小林ゆみ 委員 先ほど分子の話がありましたが、経常経費充当一般財源のうち、人件費が3割近くと最も多い割合を占めております。
人件費比率について、平成20年度から29年度までの10カ年での杉並区と23区平均の人件費比率推移の資料、ナンバー556をいただきました。これに基づいてそれぞれの増減率を計算してみましたが、23区平均の増減率はマイナス25%なのに対し、杉並区はマイナス23%です。23区平均に比べ、若干ですが、人件費削減のペースが遅いと言わざるを得ませんけれども、杉並区の人件費比率の減少のペースが遅い理由と、今後の人件費削減の方向性をお示しください。
◎行政管理担当課長 人件費比率についてのお尋ねですけれども、こちらは歳出の総額によって変動する指数でございますので、一概に23区と比べてペースが遅いというふうに判断できるものではないのかなというふうに考えてございます。杉並区におきましては、これまで民間委託ですとか民営化を進めまして、職員の削減に努めてきているところでございます。そうした中で、事務系の職員の削減につきまして、その業務の一部を、例えば若年の非常勤職員を雇用するなど、そういったところに委ねている事情もございますけれども、近年で申し上げますと、杉並区の職員の削減というのは、23区で採用増に転じている区が増加している中でも本区は職員削減を行っている、そういう事情がございます。そういうことから見ると、最近の人件費比率のポイントで比較すると、ここ数年は23区の平均より、ポイントでいえば同じか、もしくは少し杉並区のほうが上回っているような、そういう見方もできるのかなというふうに思ってございます。
今後につきましては、引き続き、民間に委ねられる業務につきましては、民間を活用してまいりたいというふうに考えてございます。
◎職員厚生担当課長 人件費削減の方向性というお話がありました。今、行政管理担当課長からも申し上げたように、まず、人件費比率の削減率、増減率ということで見ますと、資料の556番の、27年度から29年度、最近の3カ年で見ますと、杉並区における削減率マイナス9.2、それに対して23区平均ですとマイナス4.1ということですので、杉並区のほうが、直近3年でいくと取り組みが進んでいるということも言えますので、一概に委員のおっしゃっているようなことと言い切ることはできないのかなと思っております。
なお、削減の方向性でございますが、これは別の委員にも答弁したところでございますが、杉並区はほかの区に比べて非常勤の職員が多いという現状がございます。そういったことを踏まえまして、今後、31年度に定員管理方針を定めて、非常勤職員のあり方、配置人数等を検討した上で、会計年度任用職員の制度が導入されますので、それも含めて職員の適正管理に努めていく。あわせて超勤の縮減を図っていく中で、人件費総体の削減を図っていきたいと思っております。
◆小林ゆみ 委員 今お話があったように、非常勤職員が多いということは、会計年度任用職員の制度になりますと、ボーナス、期末手当も出てしまうので、ぜひ人員削減、人件費削減について工夫していただきたいと思います。
仮に、今言ったような手法、こういった人件費をこれ以上削るということが難しいとすれば、見方を変えて、行財政改革にもっと力を入れるべきだと思います。超過勤務を減らすなど、働き方改革という点からも、昨日ありましたが、時差出勤やテレワークの導入、RPAやAI等の活用を今すぐにでも検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
◎行政管理担当課長 私からは、AIやRPAの活用についてお答えをさせていただきたいと思います。
こちらの取り組みにつきましては、他の自治体でも、定型的な業務ですとかあるいは窓口の業務などで既に実証実験が行われてございまして、今後の行財政改革におきましては、確かに不可欠な取り組みというふうに認識はしているところでございます。ただ、活用に当たりましては、職員の作業時間の削減ですとか、あるいは利便性でいえば、窓口で待っているお客さんの待ち時間を短時間にして解消していくとか、さまざまな効果が見込まれますので、そこに向けて、業務の棚卸しですとか、あるいは標準化を図ったり、まずは電子化を図っていくというようなところに時間を要しているということでございますので、まずは検討していかなければ実用化ができませんので、検討は早いほうがいいかなというふうに考えてございます。
◆小林ゆみ 委員 ぜひ早目にお願いいたします。
次に、当該年度の経常収支比率の分子のうち約2割ぐらいと、人件費の次に割合が大きいのが物件費というものであります。物件費について杉並区の決算カードを見ていくと、当該年度の10年前、平成19年度の物件費は約194億円であるのに対し、当該年度の物件費は約245億円になっています。物件費上昇の要因について、区はどのように分析していますか。
◎財政課長 物件費の上昇でございますが、この間、委託を進めてきております委託費がふえたことによるというふうに分析しております。
◆小林ゆみ 委員 それでは、物件費の中の委託費なんですが、人件費を物件費に移動することによって、どのぐらいの割合、人件費はサイズダウンできるんでしょうか。
◎行政管理担当課長 数値で申し上げますと、直近の29年度の行革の取り組みでよろしいでしょうか。
◆小林ゆみ 委員 はい。
◎行政管理担当課長 職員人件費を削減して業務委託にすることによりまして、29年度総体では2億2,000万ほど行革効果を生んだところです。
◆小林ゆみ 委員 割合は出ないですかね。人件費から物件費に変えたことによって、例えば100から70にとか、そういう割合です。
◎行政管理担当課長 おおむね8割強ぐらい、要するに2割弱ぐらいは削減したというふうに考えてございます。
◆小林ゆみ 委員 そうしますと、そこをもっと進めれば経常収支比率は下がっていくということですね。
分子の3番目に多い要因として扶助費がありますが、区政経営報告書の41ページに示されているように、平成20年度の約251億円から29年度は約526億円に、2倍以上に膨れ上がっています。
昨日の質疑において、経常収支比率の分子の増加分の93%近くが保育関連経費であるということを確認いたしました。保育施設整備は、時代の流れから喫緊の課題であるということは理解しますが、扶助費の中で見ると、ほかのものと比べてバランスが悪いように見えますが、いかがですか。
◎財政課長 御指摘のとおりかと存じます。先ほど来お話ししております待機児童対策、そういったことから、他の費目よりも扶助費が相対的な割合としてふえてきているというふうに分析しております。
◆小林ゆみ 委員 ということは、年々ふえていくと思うんですけれども、それを少しでも緩やかにするために工夫が必要だと思いますが、区はどのような方法を検討していますか。
◎財政課長 先ほども部長より御答弁いたしましたけれども、保育関連経費につきましては、民営化を進めるですとか認可化へ移行する、そういったことで区の直接的な負担の軽減を図ってきたというところでございます。
◆小林ゆみ 委員 ほかにも、経常収支比率の分子を構成している費用の中で削減できるものはありますか。
◎財政課長 具体的に構成している内訳を見ますと、なかなか厳しい状況ではありますけれども、補助費がございますので、現在進めております補助金の見直し等を通じて、こういったところも削減できればというふうに考えております。
◆小林ゆみ 委員 ぜひお願いします。補助金のみならず、事務事業をそもそも見直しをすることが経常収支比率改善につながると思います。
平成29年度予算編成方針の2ページ、(4)に「行政評価の活用」と記載がありますが、どのように具体的に活用して事務事業を見直しているんでしょうか。
◎行政管理担当課長 29年度の事務事業評価の取り組みでいいますと、全事業について、過去の業務に対しての指標等、達成度がどうだったかという視点で、あるいはコストの面で評価、検証しているところでございます。特に昨年度は評価のやり方を少し変えまして、これまで中長期的な視点で見ていた方向性につきましては、翌年度を視点にした評価をするように変更いたしたところでございます。
◆小林ゆみ 委員 その結果、事務事業の縮小や廃止に至るものは、通常どのぐらいあるんでしょうか。
◎行政管理担当課長 29年度の実績で申し上げますと、縮小が49事業、それから廃止や他の事業への統合等に移行するものが26事業という結果になりました。
◆小林ゆみ 委員 ぜひ適正にそういうのを活用していただきたいと思います。
また、先ほども出ましたが、補助金の見直しというのも必要だと思います。補助金については、評価シートというのを去年からつくり出したと思いますが、補助事業の適正な執行という観点から効果検証して補助を見直した例は、過去にありますか。
◎財政課長 補助金につきましては、新規の補助金につきましては終期を設定するですとか、また政策誘導型の補助金につきましても終期を設定する、そういった観点から見直しを進めておりまして、この間、10件程度ですけれども、見直しを進めております。今後につきましてもしっかり検証してまいりたい、そのように考えております。
◆小林ゆみ 委員 ぜひ必要なものだけ残して、見直しを進めてほしいと思います。
補助金に関してのニュースですが、ことしの6月、東京都町田市の商店街組合で、市と都からの補助金を不正受給していたということが発覚しました。商店街事業の補助金の精算において領収書を偽造しており、商店街組合は、市と都からの補助金全額、合計約559万円と違約金約178万円を返還しました。これら以外にも、ここ数年、各地で商店街組合の補助金不正受給事件が発生しており、中には、事務局長や幹部による横領が指摘され、刑事事件に発展している事例もあるといいます。
確認いたしますが、杉並区ではこのような事例はありませんか。
◎財政課長 補助金につきましては、自治法の規定上、公益上必要がある場合に補助することができるということになっております。したがいまして、その必要性というものをしっかり検証していくとともに、事務の執行に当たりましては、適正な事務執行に努めるように、今後とも関係所管それぞれ、補助金につきましては各部署がございますので、そういったところで徹底してまいりたいというふうに考えております。
◆小林ゆみ 委員 ぜひ補助金に対する監査という観点も検討していただきたいと思います。
次に、経常収支比率を構成している分母のところについて伺いますが、同比率は、23区平均を経年で見ると、平成11年度の91.0%、23年度の86.4%など、景気後退期に急速に悪化し、財政の硬直化が進むという傾向にあります。
今後、消費税率が10%に引き上げられるということも決まっており、仮にそのことが引き金で景気が悪化するということが起これば、めぐりめぐって、経常収支比率の分母に当たる経常一般財源総額の部分が小さくなって、今後ますます率としては経常収支比率が膨らんでいってしまうということも考えられます。そのため、決して楽観視できる状況ではないと考えられます。
経常収支比率の分母の部分は、株式等譲渡所得割交付金や配当割交付金、特別区財政調整交付金などの増という景気改善による外的要因に起因するものが大きいですが、それらの数値は当該年度でふえているので、経常収支比率は本来であれば少しでも改善されるべきですが、今回のような数値になったのはなぜでしょうか。
◎財政課長 歳入につきましては、御指摘のとおり上昇しているというところですけれども、それを上回る、この間やりとりがありました分子の部分の増加が要因であるというふうに捉えております。
◆小林ゆみ 委員 ぜひ率として下げていくように努力を続けていただきたいと思います。
最後に、1点だけ、補正予算について伺います。
当該年度は、定例会開催が4回に対し、補正予算は6回でした。中には、確かにやむを得ないというものもありましたが、少し行き当たりばったり感が否めません。選挙など、必ず入ってくるというものについても、当初予算の段階で必要な経費を見込めていれば、当初予算に入れてまとめるということも可能だったはずです。
例えば29年第1号補正予算の設計労務単価関連のものも、設計労務単価というのは年々上がっているため、事前に予想ができたはずです。そのようなものは、事前にきちんと積算して当初予算に入れるべきであると考えます。
昨年、決算特別委員会において我が会派の委員から、最終的に7号まで補正予算を重ねたことについて質問があり、それに対し区は、今後二度とこういう事態を招かないように取り組んでまいりたいと答弁していました。補正予算を28年度は7回も出したことの理由として、待機児童解消緊急対策に関連した費用が多く、急激な需要増を見通すことができなかったという理由でした。
今後もこのようなことがあってはならないので、多過ぎる補正予算は控えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◎財政課長 28年度につきましては、今委員からお話があったとおりだというふうに認識をしております。
当該年度、29年度につきましても6回、そのうち1回は、御指摘のありました選挙、さらには労務単価の上昇ということで補正予算を組んでおります。そのほかは保育関連ですとか、緊急を要する経費や新たな事情の変化に対応するために補正予算を組んでおります。基本的には当初予算の中でしっかり算定していくということが必要かと存じますが、そういった事情の変化で、やむを得ず補正予算を組むということは今後も生ずるというふうに考えております。
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