1.次世代型交通について
2.環境施策について
自民・無所属・維新クラブの小林ゆみです。本日は、1、次世代型交通について、2、環境施策について質問いたします。
まず、次世代型交通についてお尋ねしてまいります。
杉並区内で移動する際、電車やバスなどの公共交通機関がカバーできない部分は、交通手段として、自家用車、タクシー、自転車、徒歩などが考えられますが、車や自転車を所有していないもしくは運転できない、したくない方や、高齢の方や観光客の方で、移動する際に不便さを感じており、タクシーほど高額な運賃を払いたくないという方がいらっしゃると思います。そうなると、やはりバスが区民の足として重要な役割を担っていると考えられますが、まず、杉並区内におけるバスの運行状況について、事業者や路線はどのようになっているか、確認いたします。
杉並区のコミュニティーバスとして、区営バスのすぎ丸がありますが、よく区民の方から、うちの近くまですぎ丸に来てほしいなど、交通やまちづくりに関する意見を耳にします。実際に、先月発行された「区民のこえ」平成30年度版を見ると、15ページに、「『利便性の高い快適な都市基盤の整備』、『良好な住環境の整備』および『魅力的でにぎわいのある多心型まちづくり』については130件」と、全施策の中で最も要望件数が多かったと記載があります。
そこで、区民の交通に対する御意見、御要望と、それについてのデータがあればお示しください。
また、同資料16ページに、「『すぎ丸』の運行に関する要望等も寄せられました。」と記載がありますが、すぎ丸だけでは賄い切れない場所も区内にはあるのだと感じます。すぎ丸が現時点でカバーできない交通不便地域に、主な箇所はどのようなところがあるのか伺います。
他自治体を見ると、コミュニティーバスの運行を継続するための運行継続条件として、運賃収入が車両償却費等を除いた経常経費の50%以上であることを挙げている自治体が数多くあります。例えば大田区のたまちゃんバスは、運行継続条件は収支率50%以上とされており、30年度に50%に届かなかった場合は改善運行を行い、31年度、令和元年度に収支率が50%に届かなかった場合は廃止となります。こういった例からもわかるように、収支率は、コミュニティーバスの事業継続のためにも重要な基準となります。
すぎ丸の収益は、ここ10年間でどのような状況になっていますか。また、収益率改善のために、これまでどのような手だてがとられてきたのか伺います。
次に、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)について尋ねてまいります。
情報技術を活用し、地域の公共交通や移動サービスを使いやすくする次世代型移動サービスであるMaaSは、国内の大手自動車メーカーやIT企業の参入が相次ぐなど、本年が導入元年と言われています。
MaaSの定義は国や企業によってさまざまではありますが、グローバルスタンダードで示されているところのMaaSというのは、利用者視点に立って複数の交通サービスを組み合わせ、それらがスマホアプリ1つでルート検索から予約、決済まで完了し、シームレスな移動体験を実現する取り組みのことです。国土交通省の資料には、MaaSとは、「ICTを活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな『移動』の概念である。」と記載されています。
MaaSは、シェアリングサービスや自動運転といった個別の移動サービスの発展や進化とリンクするものであり、それらが相まって交通手段の最適化が進展することにより、都市の渋滞、環境問題や交通事故の解消、あるいは過疎化、高齢化が進む地方での足の確保ができるなど、社会的な恩恵という意味合いが強く出ています。
さらに、MaaSによって人々の移動が自由になることで、移動の目的の側に位置する全ての産業に商機が生まれます。例えば、移動が不便だったエリアへのMaaSの導入によってスマートに暮らせるようになると、不動産価値の上昇が見込めます。また、送迎込みで一括予約できる医療サービスや大規模イベントなど、さまざまな新ビジネスを打ち立てられるため、MaaSという概念が生まれたことで、全産業にとってのビジネスチャンスが到来したと言えるでしょう。
日本政府も、未来投資戦略2018において、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでにMaaSの取り組みを加速させるとしています。国土交通省と経済産業省は、4月に、2省合同プロジェクト、スマートモビリティチャレンジを開始し、全国28カ所での実証実験も始まり、モビリティー革命への官民の取り組みが次の段階に入ってきていると言えます。
令和2年度の予算案編成に向けた各省庁の概算要求の提出が先日締め切られましたが、国土交通省は、316億円を計上した「利便性が高く持続可能な地域公共交通ネットワークの実現」の中で、日本版MaaSなどの次世代型モビリティーの推進により、地方や観光地における移動の利便性を高める目的で予算を割いています。このほか、経済産業省も自動運転やMaaSなどのモビリティー関連の予算を概算要求で計上し、高度な自動走行、MaaSの社会実装に向けた研究開発、実証事業費に関しては、令和元年度に比べ約1.5倍の予算額となっています。
我が国が抱える交通に関する問題は、都市部では通勤ラッシュ、渋滞問題などですが、これらの問題を解決するために、MaaS施策の推進は現実的な解決策の1つです。また、一般的に地方よりも都市のほうが、MaaSの取り組みにおいて収益化がしやすいと言われています。MaaSの取り組みを杉並区で推進することにより、移動やサービスの質が向上し、ひいては、杉並区全体の活性化につながる上に、従来よりも施策の収益化が見込めます。
そこで質問ですが、国を挙げて産官学が一体となって現在進めているMaaSの取り組みについて、杉並区の見解と検討状況を伺います。
次に、SAVSと書いてサブス、つまりスマート・アクセス・ビークル・サービスについて伺ってまいります。
先日我が会派は、函館市の公立はこだて未来大学に会派視察に行き、SAVSについて学んでまいりました。
SAVSとは、MaaSの概念をより先に進め、デマンド交通であるタクシーと乗り合い交通である路線バスの長所を融合した、時間やルートを固定せずに乗り合い車両の配車決定を行うサービスであり、バスより便利でタクシーより安いという利点があります。スマートフォンやタブレットと、クラウドプラットホームをベースとしたアプリ―ケーションが通信し、AIがリアルタイムに全車両の走行ルートを決定しますが、この技術により、需要に即して、つまりオンデマンドで乗り合い車両の最適な配車決定を全自動で行うことが可能になります。
例えば、利用者から乗車要求を受けると、選び出した車両をその乗車地点まで迎えに行かせ、降車地点までの最適ルートを案内します。車が走っている途中で別の利用者から乗車要求を受け、その迎えに行くことも想定しているため、いわゆる乗り合いと言われるものであり、AI便乗と呼ばれています。
現代社会は、交通に関する多くの問題を抱えています。交通事故のニュースが多く聞かれる昨今において、免許を持っているけれども、できれば運転はしたくないという方。タクシー運転手の方がお客様を見つけられず、車を走らせながらお客様を探すこと、いわゆる流しをする時間が長くなってしまうこと。また、幼稚園や学校、障害者、高齢者施設の送迎バスの運転手の方が、朝と夕は仕事があるが、その間の時間は仕事がないという問題。さらに、都市部では交通渋滞で人の流れも物流も滞ってしまう。これら交通の問題を、移動とサービスを掛け合わせて最適化することによって解決するという意味で、SAVSはコミュニティーの全体最適を目指していると言えます。
函館市では、このように産官学が連携し、それぞれの分野から、町の交通の最適化と、より多くの人を町に連れ出すことによる経済発展を目指し、交通に関する取り組みを推進しています。
杉並区内にもIT企業や交通関連事業者、大学が複数あるため、杉並区も区内の企業や大学と提携し、次世代型の交通について検討する機会を持つべきだと考えますが、見解を伺います。
SAVSの取り組みは、全国の幾つかの自治体において早速進められています。
横浜市のみなとみらいでは、AI運行バスの実証実験が昨年10月にスタートしました。そして、ことし1月からは、横浜市青葉区のたまプラーザ駅北側で東京急行電鉄が実施する実証実験に、はこだて未来大と東京都市大学と共同で協力しています。
群馬県太田市では、昨年11月、高齢者向けのトレーニングを兼ねたデイサービスの通所者を対象に、福祉Moverというサービスが始まりました。病院や買い物先からでもスマートフォンを使って送迎車を呼び出せるのは、SAVSならではです。
熊本県荒尾市は、SAVSの取り組みを積極的に取り入れている自治体であり、平成31年度、令和元年度予算において、オンデマンド型相乗りタクシー実証実験事業に756万円が計上されています。平成30年度に実施したあらお相乗りタクシーの実証実験の結果を踏まえた上で、利用料金、運行範囲について、期間を延長して再度実証実験を行っていくとのことです。
以上申し上げてきたSAVSのようなAIを使った乗り合いサービスの実現可能性について、区はどのように考えていますか。また、杉並区も荒尾市のように自治体主導で実証実験を行ってはいかがかと思いますが、見解を問います。
次に、環境施策についてお尋ねしてまいります。
杉並区は環境施策に力を入れて取り組んでいますが、インターネット上にある東京都内の自治体の注目すべき環境施策を集めたあるサイトにおいても、水素から電気を生み出し、走行中は二酸化炭素を一切排出しない燃料電池自動車「H2なみすけ号」を平成28年10月に導入し、クリーンエネルギーの普及啓発と地球温暖化防止の環境学習に取り組んでいますといったふうに、水素で動く「H2なみすけ号」がピックアップされています。
平成25年11月に改定された杉並区環境基本計画では、「区民一人ひとりが創る持続可能な環境住宅都市杉並」を目指すべく、5つの基本目標を掲げ、その達成に向けて、95の事務事業に取り組んでいます。その中で今回は、基本目標のうち、I、「低炭素・循環型のまちをつくる」、II、「区民の健康と生活環境を守るまちをつくる」に着目し、施策を見てまいります。
まず、杉並区における環境施策全体の予算額推移と、それが一般会計に占める割合を伺います。
杉並区環境基本計画の基本目標を達成するための事務事業の中で、放射能情報の収集と提供があります。ツイッターの杉並区公式アカウントでは、そのつぶやきの半数以上が、空間放射線量の定点測定結果、区立小中学校、保育園等の給食食材の放射能検査結果です。実際に、先月8月のつぶやきを見ると、全件8件のうち5件が放射能関連のものでした。このことからもわかるように、放射能対策に力を入れている印象がありますが、そもそもこういった取り組みはどのように、どういった目的で始まったのか疑問です。
そこで、杉並区が行っている放射能対策の経緯と現状を伺います。
次に、環境基本計画の基本目標Iに関連し、炭素税について伺ってまいります。
二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて税を課す炭素税の導入に向け、本格的に議論が動き出しています。環境省が令和2年度の税制改正要望で初めて盛り込む方針を決めたため、温暖化対策に消極的な企業から投資を引き揚げるような動きも始まっており、製鉄や石油元売など、反対一辺倒だった産業界の中でも意見が割れ始めました。
こういったカーボンプライシング、炭素の排出量に価格づけを行うことについては、10年ほど前にも同様の議論がありました。平成20年の福田内閣で、排出量取引と炭素税が比較検討され、平成22年3月に鳩山内閣で、排出量取引や炭素税の導入などの地球温暖化対策基本法を国会に提出しました。鳩山内閣の辞職で国会審議が振り出しに戻り、東日本大震災で検討も停滞していましたが、来年に予定されているパリ協定の目標強化の交渉に向け、今になって再び議論が動き出したという流れです。
石油や石炭を燃やしたときに発生するCO2によって地球が温暖化すると主張してきたのは、国連のIPCC(インターガバメンタル・パネル・オン・クライミット・チェンジ)、気候変動に関する政府間パネルです。1988年にIPCCが設立されたとき、初代議長のバート・ボリンが、2020年には海水面が60から120メートルも上昇し、ロンドンもニューヨークも水没していると予測しましたが、時がたち、実際はそのようになっていないことは明らかです。
1998年をピークとして、それ以後10年間も地球の気温が上昇せず、むしろ温度が下がる期間が続いています。その間、目覚ましい経済成長を続ける中国でもインドでもCO2の排出量がふえ続け、地球の大気中のCO2濃度の最高値が毎年更新されていたにもかかわらずです。したがって、CO2の増加と地球温暖化は相関性がないという結論を出している科学者もおります。
このような視点から、以下、炭素税導入について疑問を抱かざるを得ない理由となる考えを3つ述べます。
まず、先ほどから申し述べているように、そもそも温暖化はCO2が原因ではないのではないかという考えです。
20世紀に入り、1940年までは温暖、それから1970年まで寒冷、そしてその後は温暖と、地球の気温は高くなったり低くなったりを繰り返しています。そして、よく言われるような地球温暖化で海面上昇という理論は、現実的にはあり得ません。例えば、ファミリーレストランにある氷入りの水が入ったコップが、少し室温が上がればたちまちあふれ出すなどということはありませんし、お風呂場の気温を上げればお風呂が沸くなどということもあり得ないからです。
大陸は熱容量が小さく寒暖差が大きいですが、海洋性気候は海の熱容量が大きいので気温の変化が少ないということは、学校の理科の授業で習います。そのため、中国やアメリカなど大陸国は比較的影響を受けやすいですが、日本は四方を海に囲まれた島国であるため、海洋性気候であり、空気が少し温まっても気温が上がるはずがありません。また、温暖化に与える影響は、CO2より、実際にはH2Oのほうがはるかに大きいので、温室効果を論じる際は、決して水蒸気を無視してはいけないと考えます。
そして2つ目に、平成24年10月1日から導入されている地球温暖化対策税が既に存在する中で、さらに炭素税を導入するのはどうなのかという考えです。
ことしは10月に消費税増税を控え、その直後に、新たな増税となる炭素税導入を取り上げるのは難しい情勢です。他国を見ると、燃料税の引き上げを宣言したフランスでは、昨年11月からことし春にかけて、ジレジョーヌ(黄色いベスト)運動が起こったことも考えると、日本でも反発が起こり、国内情勢が混乱するという可能性も考えられます。国は仮に炭素税導入で国民に税負担を強いるのであれば、目的税として使い道をしっかりと示してほしいものです。
また、3つ目に、雪国の暖房など、生き死ににかかわることに対しても同じ税率をかけるのかなど、軽減税率のような考えも導入されるかもしれず、徴税がさらに煩雑化してしまうおそれもあります。
こうした考えがある中で、炭素税導入の流れについての区の見解を問います。
杉並区では、地球温暖化対策として、低炭素化推進機器の導入助成などに注力しています。ことし6月の都市環境委員会でも、今年度の主な課題として、地球温暖化防止対策として、温室効果ガスの削減につながる低炭素化推進機器や電気自動車用充電設備などの導入助成が挙げられています。しかしながら、先ほどから言及しているように、空気中のCO2と温暖化に相関性は見られないため、地球温暖化対策として事業を進めることは、科学的に見て疑問が残ります。
杉並区の低炭素化の取り組みは、科学的見地に基づいて進められているのか、もしくはIPCCなどが発表したデータに基づいて行っているのか疑問ですが、杉並区が目指す目標が仮に外部から定められているのであれば、そちらに問題があるかもしれません。
区の低炭素化を推進することについて、その目的や数値目標があるのか、あるとすれば、その目標を設置した主体を確認いたします。また、国や都から設定されている達成しなければいけないノルマのようなものはあるのでしょうか、お尋ねします。
続けて、区の低炭素化推進機器等導入助成事業については、上限額が4,000万円となっていますが、状況はどのようになっているのか、お尋ねします。
杉並区も行っている間接的な地球温暖化対策として、CO2を出さないという理由で行われている太陽光発電などがあります。そもそもの始まりは、当時の菅直人首相が国際公約した日本のソーラー1,000万個計画ですが、経済産業省のデータによると、太陽光発電の負担金は平成24年ごろから1,000億円を超え、平成29年には2兆1,000億円に達しています。杉並区は、太陽光発電システムの導入助成や区立施設へのパネル設置を行っており、ことし6月の落成式の際に見た桃井第二小学校にも太陽光パネルが設置していることを確認しましたが、今後もこういった事業を積極的に行っていくのか、疑問です。
そこで、区は太陽光発電システムの導入助成を行っていますが、この助成の目的や導入件数、また、区立施設で太陽光パネルを設置している実施施設は幾つあるのか伺います。
太陽光発電は、平成24年に固定価格買い取り制度(FIT)が導入されて以降、加速度的にふえてきました。この太陽光発電に使用する太陽光パネルは、製品寿命が約25から30年とされています。そのため、FIT開始後に始まった太陽光発電事業はあと20年ほどで終了し、その際、太陽光発電設備から太陽光パネルを含む廃棄物が出ることが予想されています。太陽光を初めとした再エネを長期的に安定した主力電源の1つにしていくのであれば、こうした廃棄物問題を避けて通ることはできません。
将来の太陽光発電設置をめぐっては、次に挙げるような懸念が広がっています。
まず、太陽光パネルが適切に廃棄されないのではないかという懸念です。
例えば、事業者が所有している土地で行われている事業用太陽光で、実質的に事業が終了していても、コストのかかる廃棄処理を行わず、有価物だとしてパネルが放置される可能性があります。また、廃棄の費用を捻出できない、あるいは準備しなかったなどの場合、ほかの土地に不法投棄されるのではないかという懸念もあります。こうした放置や不法投棄を防ぐためには、電気を売って得た収入の一部を廃棄などの費用としてあらかじめ積み立てておくことが有効ですが、実際に積み立てを行っている事業者は少ないのが実態です。
2つ目として、有害物質の問題です。
現在、太陽光パネルは、シリコン系とカドミウムテルル系の2種類が主流ですが、その種類によっては、鉛、セレン、カドミウムなどの有害物質が含まれており、それぞれ適切な処分方法があります。特にカドミウムは、日本の4大公害の1つであるイタイイタイ病の原因物質であり、非常に毒性が強い物質です。自宅などにパネルを設置した場合、カドミウムなどの毒物溶出リスクがつきまといます。しかし、含まれる有害物質の情報が廃棄物処理業者に伝わっていないために、適切な処分が行われていないケースが見られます。こうした有害物質の流出、拡散が懸念されるケースが起こる背景には、そもそも廃棄物を出す事業者が有害物質の含有を知らなかった、あるいは認識はしていたが確認していなかったというケースもあります。また、太陽光パネルメーカーも積極的に情報開示を行っていないというケースもあるといいます。
3つ目に、同時期に設置した太陽光パネルは、いずれ大量廃棄の時期を迎えます。ピーク時には、使用済み太陽光パネルの年間排出量が産業廃棄物の最終処分量の6%に及ぶ試算もあります。そのため、一時的に最終処分場が逼迫するという懸念があります。
また、4つ目に、パネルに当たった光が近隣に反射してまぶしいという問題があります。
実際に、昨年9月、兵庫県姫路市の男性は、太陽光パネルの反射光で自宅が照らされたため室内が猛烈な暑さになり、熱中症にかかったとして、男性は発電施設の開発会社を相手取り、損害賠償とパネルの撤去を求めて神戸地裁姫路支部に提訴しました。網戸にし、扇風機や送風機を使っても室温は高温になり、昨年8月の1カ月間に、2階の室温が40度を超える日が20日間、50度を超える日もあり、その2日後、妻が熱中症で倒れ、さらに数日後には自分も熱中症にかかったといいます。
5つ目に、火災時のリスクが大きいことが挙げられます。
火災の際、先ほど述べたような有害物質が煙となって、消防士も周辺住民も吸わされることとなってしまいます。また、消火のためには放水が行われますが、水は電気の良導体です。太陽光発電モジュールに直接放水すれば、破損した部分から水を伝わって、消防士まで電気の通り道ができてしまいます。ヨーロッパでは、実際に、太陽光発電設備を積載した住宅が火災になり、消火活動に当たった消防士が感電で死亡した事故も起きています。もちろん、破損していない太陽光発電設備から漏電することはありません。きちんと定期点検を行っていれば、絶縁抵抗試験や漏電ブレーカーの動作確認は行われているはずです。
そこで、最後にお尋ねしますが、太陽光発電パネルが持つ危険性について、助成時など、そういった場合に区民に伝えているのでしょうか。また、区立施設に設置している太陽光発電パネルについて、廃棄方法の確認や適正な維持管理は行われているのか確認し、一般質問を終わります。
○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。
都市整備部長。
〔都市整備部長(有坂幹朗)登壇〕
◎都市整備部長(有坂幹朗) 私からは、次世代型交通に関する一連の御質問にお答えいたします。
まず、区内の公共交通の現状に関するお尋ねですが、区内では6事業者78路線の路線バスが運行されてございます。
次に、交通に関する御意見などについてですけれども、今後の地域交通施策の基礎資料とするために、すぎ丸利用者などを対象に実施しました平成30年度のアンケート結果では、鉄道駅やバス停の利用環境の向上や自転車の環境整備、すぎ丸のサービス充実に関することなど、さまざまな御意見がございます。
続いて、区内の交通不便地域につきましては、鉄道駅を中心とした500メートル、バス停を中心とした300メートル、すぎ丸のバス停を中心とした200メートルの範囲外を交通不便地域と位置づけており、方南や和泉地域の一部などがございます。
次に、すぎ丸の収益についてのお尋ねですけれども、すぎ丸の利用者数は平成30年度に118万人を超えており、平成21年度と比較しますと14万人程度増加しております。しかし、人件費の上昇や燃料費の高騰などにより、補助金支出額は約2,400万円台から約3,000万円台の間で推移しております。
また、収益改善策としましては、区といたしましては、多くの区民に御利用いただくため、すぎ丸の利用を促す普及啓発に取り組むとともに、広告収入の増加に努めているところでございます。
また、新技術を活用した公共交通に関するお尋ねがございました。
交通のシームレス化に関する取り組みであるいわゆるMaaSにつきましては、区といたしましても、交通利便性向上のために重要な取り組みであると認識しており、現在、鉄道事業者と情報交換を行っているところでございます。
なお、これまでに区が所有する高精度3次元地図データを民間企業に提供し、区内で自動運転公道実証実験を行うなど、産官学が連携した事業にも取り組んでございます。
いずれにいたしましても、区といたしましては、MaaSのほか、SAVSのようなAIを使った乗り合いサービスを含めた新たな技術の活用などにつきましては、他自治体の取り組み事例を参考にするなど、研究を進めてまいります。
私からは以上です。
○議長(井口かづ子議員) 環境部長。
〔環境部長(齊藤俊朗)登壇〕
◎環境部長(齊藤俊朗) 私からは、環境施策に関する一連の御質問にお答えいたします。
まず、予算額の推移と、一般会計に占める割合についてのお尋ねにお答えします。
清掃事業等人件費を含む環境部全体の予算額になりますが、平成27年度92億3,000万余、28年度92億2,000万余、29年度90億3,000万余、30年度87億2,000万余、令和元年度87億円余となってございます。
また、一般会計に占める割合は、平成27年度が5.6%、28年度が5.4%、29年度が5.1%、平成30年度が4.8%、令和元年度が4.6%となってございます。
次に、杉並区の放射能対策の経緯と現状につきましてお答えいたします。
平成23年の東日本大震災による福島第一原発事故を受けまして、区では、区民の不安解消を図るため、平成23年度から空間放射線量率の定点測定や、保育園や区立学校の給食食材の放射性物質検査等を実施しております。測定開始以降、各測定値に異常は認められず、空間放射線量率の測定値は、事故前と同程度の状況で推移しております。
また、これまで東京電力に対しまして3度にわたる損害賠償請求を行い、いずれも和解が成立しております。
次に、炭素税の導入についての御質問にお答えします。
具体的に新たな税を創設するか否か等は明らかになってございませんが、一般的に言われる炭素税は、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料、CO2の排出量に応じて税を課して、企業や消費者に排出量の少ない天然ガスや再生可能エネルギーを選択させて、国全体の排出量削減を目指すもので、環境施策の推進には効果があるものと考えております。しかしながら、パリ協定等を受けまして、各国が掲げるCO2削減目標の達成には多大の費用を要することが課題とされております。
我が国におきましても、今後こうした取り組みのために新たな税を創設するといたしましても、具体的にどういった事業に充てるのか、そのためにどの程度の税収が必要で、誰を対象に課税していくのかなど、国民への周知を図り、理解を得た上で実施していくことが必要と考えますので、今後の国の動向には注視してまいりたいと考えております。
次に、区の低炭素化に向けた数値目標に関する御質問にお答えします。
区では、低炭素化に向けまして、太陽光発電システムや家庭用燃料電池などの低炭素化推進機器の助成を行っておりますが、これは送電ロス等も少なく、CO2の排出量も少なくなることから、地球温暖化防止に資するものとして実施しております。
次に、数値目標についてでございますが、区は、東京都が掲げております温室効果ガス排出量の長期目標数値が区としましても妥当なものと判断し、都の目標と同様に、令和12年度までに区内の温室効果ガス排出量を平成12年度比で30%削減することとしております。
なお、この目標数値につきまして、国や都からノルマを課されているということはございません。
次に、区の低炭素化推進機器等導入助成事業の実績についての御質問にお答えいたします。
平成30年度の実績で申し上げますと、12月中に予算額4,000万円に達しまして、年度末を待たずに申請受け付けを終了いたしました。事業全体の申請件数は571件で、内訳は、太陽エネルギー利用機器が96件、蓄電池の関係が52件、家庭用燃料電池等の省エネ機器が244件、高日射反射率塗装や窓断熱改修の省エネ住宅用が179件となってございます。
次に、太陽光システムの導入助成に関する御質問にお答えいたします。
太陽光システムの導入助成は、先ほども申し上げましたとおり、地球温暖化防止に資するものとして行っているものです。
次に、導入件数ですが、平成15年から開始し、平成30年度末で累計2,648件となりました。
次に、区立施設についてですが、大規模災害が発生したときにエネルギーで困らない地域分散型のエネルギー社会を構築するために、令和元年9月時点で、震災救援所36カ所に太陽光発電システムと蓄電池を設置しているほか、低炭素化社会の実現のために、区立施設6カ所に太陽光発電システムを設置しております。
私から最後になりますが、太陽光発電パネルが持つ危険性の周知等に関する御質問にお答えします。
太陽光発電パネルにつきましては、助成金を受けた方を対象に、毎年度、専門家による講演を含む情報交換会を開催しており、その中で火災の危険性などの説明も行っております。ただし、情報交換会に参加されなかった方もいますことから、大半の設置者が申請を事業者に依頼しておりますので、災害時等には取り扱いに注意が必要な事項もありますので、事業者のほうから必要な周知を行うよう要請してまいりたいと考えております。
また、区立施設については、定期的な点検を行うことや、不用意に近づくことがないよう安全対策を講じるとともに、廃棄においても、適用される法令等にのっとり処理を行うなど、必要な対応は行っております。
私からは以上です。
○議長(井口かづ子議員) 22番小林ゆみ議員。
〔22番(小林ゆみ議員)登壇〕
◆22番(小林ゆみ議員) 御答弁ありがとうございました。いただいた御答弁に対して、何点か再質問をしたいと思います。
すぎ丸の10年間にわたっての収益率というのを伺ったんですが、補助金支出額が3,000万円ほどになるということも聞いて、一般的に言って、コミュニティーバスの収益率アップには限界があるのかなということも理解いたしました。その上で、やはりMaaSを活用した取り組みが重要になってくると思います。
御答弁の中で、交通事業者と研究を進めている、実際にお話をしているということがありましたが、実際にどういった方向性でお話をしているのか伺います。
また、放射能対策についても御答弁いただきましたが、御答弁の中で、その推移、数値がほとんど23年度から変わらないということもわかりましたので、杉並区の公式ツイッターというのは、防災関連の情報だったり、区民の安心・安全のためにということで、ヘッダーというか頭のほうに書いてあると思います。そのため、放射能の値もいいんですけれども、先日区役所で作業していましたら、夕方ごろに、PM2.5の濃度が高いので外出には気をつけてくださいというようなこともあったんですが、そういった内容はツイッターには載っていなかったので、放射能にかかわらず、いろいろな化学物質に着目をして、バランスをとって発信をしてほしいと思いますが、見解を伺います。
それと、太陽光パネルの危険性についても御答弁いただきました。それで、事業者のほうから設置したところに説明をするように要請するということでしたが、質問の部分でもありましたように、事業者のほうからあえて説明しないということもあるように聞いていますので、そこの説明と、杉並区のほうからしっかりと事業者に説明するようさらに確認をしてほしいと思いますが、そこは確実にしていただきたいと思いますが、見解を伺って、終わります。
○議長(井口かづ子議員) 理事者の答弁を求めます。
都市整備部長。
〔都市整備部長(有坂幹朗)登壇〕
◎都市整備部長(有坂幹朗) 私からは、小林ゆみ議員からいただきました次世代型交通に関する再度の御質問にお答えいたします。
まず、MaaSについて、鉄道事業者とどういった方向性で話がされているかということなんですけれども、まだMaaSについては、国交省の定義の仕方ですとかあるいは自動車産業のほうの定義の仕方が異なっている、定義自体がなかなか定着していない状況の中で、御指摘いただいているとおり、すぎ丸だけでは限界がございますので、このことについては、今の段階では情報交換にとどまっている状況でございます。ただ、御指摘いただいているような今後の方向性については、すぎ丸を補完するようなものだというふうに認識してございます。
私からは以上です。
○議長(井口かづ子議員) 環境部長。
〔環境部長(齊藤俊朗)登壇〕
◎環境部長(齊藤俊朗) 小林議員からの環境に関します御質問にお答えいたします。 まず、安全・安心の観点から、放射能だけではなくて、さまざまな、PM2.5ですとかそういった公害に関するようなこともリアルタイムで伝えるべきではないかということは、いただいたとおりでございますので、放射能につきましても、当然御心配されている方がおりますので、引き続き行ってはまいりますが、いただきましたそういった数値につきましても、なるべくできるような形でやるように、その辺は検討させていただきたいと思っております。 次に、太陽光発電等のパネルにつきまして、先ほど私のほうから、いろいろ専門家のことを聞いて交換会をやっているという話をさせていただいたんですけれども、これから、当然事業者ですので危険性等を知っているものという前提のもとで、申請に来た方には余りそういった話はしていなかったんですけれども、今後、大体代理の方が、事業者の方が来ますので、今、国のほうでもいろいろと話題になっていますし、確かに漏電ですとかあるいは化学物質の関係さまざま、ホームページ等でもいろいろ載っていますので、そういったことにつきましては、ガイドライン等に基づきましてしっかり伝えてくださいということは、窓口のほうでしっかり伝えていきたいと思っております。 私からは以上です。
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